夫婦で育てるワインと絆-RESTAURANT NEW ZEA PLATFORM 箸本 珠愛

目次
ニュージーランドに魅せられて
ニュージーランドには2回行きました。やはり生産者と直接会って話をすると、テクニカルシートを読んだり、ラベルを見て想像していただけだったものから、ワインの裏にあるストーリーがぐっと身近に感じられますね。それをお客様にも伝えたいなと思っています。
現地のどんなところに魅力を感じましたか。
行ってみてすごく感じたのは、まず「ウェルカムな雰囲気」です。大自然の素晴らしさは皆さんもご存じだと思いますが、それ以上に人の温かさというか…「そのままでいいよ」と受け入れてくれる感じがとても印象的でした。島国とは本来、あまり外の人を受け入れない傾向があると思っていて、それはかつての日本も含めてそういうイメージがあるんですけど…ニュージーランドは、その逆で「そのままでいいよ」と、自然体でいさせてくれる空気があるんですよね。
私もニュージーランドに行ったことがありますが、心にゆとりがあって、誰に対してもフレンドリーで親切に接してくれますよね。では、ワインの観点から見ても魅力を感じますか。
もちろんです!!ニュージーランドは冷涼な気候で、ブドウ栽培にすごく適しています。それに人口が少ない分、生産量も限られていて、その中でこだわりを持って丁寧に造られているワインが多いなと感じています。実際、世界のワイン生産量の中でニュージーランドは、1%にも満たないのに、日本への輸入額では上位に入ります。これは、品質と生産者の取り組みが評価されていることを証明しています。

出典元:KIRIN – キリンホールディングス株式会社 – Kirin Holdings
現地で体感したからこそ、伝えたくなる魅力があるんですね。
はい。だからこそもっと知りたいですし、もっと多くの人に届けたいなと思うようになりました。生産者の皆さんは本当に実直で、まっすぐなんです。「儲けたいから造る」ではなくて「自分たちの理想とするブドウから、自分たちらしいワインを造りたい」という想いがすごく伝わってきます。誰に届けたいかまでイメージしていて、それが畑やワイン、全部に表れているんです!!
なるほど。家族とはまた違った軸での、箸本さんの情熱の源を垣間見た気がします。現地で感じた印象を共有していただき、ありがとうございました。こういったお話を箸本さんがレストランで発信することで、ニュージーランドを訪れる方がもっと増えると素敵ですね♪
そうですね。ソムリエとしてお客様にワインの魅力を伝えるのはもちろんですが、逆に、生産者の方も「自分たちのワインが日本でどう飲まれているのか」ということに関心を持っていらっしゃいました。だからこそ、私からその声を生産者に届けることも、大切な役割だと感じています。これからも“架け橋”のような存在として、ワインの魅力を丁寧に伝えていきたいと思います。

PIWI品種に注目しています。
なぜ今、PIWI品種に注目しているのか、またPIWI品種についても簡単に教えていただけますか。
まず、PIWI品種というのは、病害に対する耐性を持つブドウ品種のことです。私が注目している理由としては、やはりここ最近の異常気象に対応できる可能性がある品種として、注目が高まっているからです。
確かに、私も最近いろいろな展示会に足を運ぶと、必ずどこかでPIWI品種が取り上げられている印象があります。やはり注目度は高まっていますよね。ちなみに、ニュージーランドでも栽培しているところはありましたか。
現地滞在中の限られた時間では、実際に栽培している生産者にはお会いできませんでしたが、完全にゼロというわけではないようです。ただ、まだまだ数は少ない印象ですね。一時的なトレンドとして注目されているだけなのか、あるいは気候変動の影響を本気で受け止めて、今後本格的に取り組んでいく流れなのか…そこにはすごく興味があります。
好奇心は尽きませんね(笑)ちなみに、ニュージーランド以外で行ってみたい産地はありますか。
そうですね…やはりまずは「ちゃんとフランスを学ばなければ…」という気持ちがあります。あとは、シチリアにも行ってみたいです♪教科書にはたくさん魅力的な産地が出てくるので、知識だけがどんどん増えていき…もう、全部行ってみたいです!!あとひとつ、個人的にすごく気になっているのがアゾレス諸島です。
ポルトガル領の島国ですよね。さすがにまだ飲んだことないです。やはり海がある場所っていいですよね……話してたら、なんだかまたニュージーランドに戻りたくなってきました(笑)