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札幌から発信する家族でつくるフランス料理文化-フランス料理店mondo 小川 水美

名店で磨いた感性から、家族でフランス料理店を経営するという選択へ

現在はご両親と一緒にお仕事をされていますが、ここに至るまでの経歴を教えてください
小川:

はい。最初に働いたのは青山にある「モノリス | Monolith」というフランス料理店で、そこに2年半ほど勤めました。その後は丸の内の「アピシウス | APICIUS」に移って、約2年間勤務しています。そこから少し飲食業界を離れて、別の業界でも仕事をしていました。

※「モノリス | Monolith」の詳細はこちら

「アピシウス | APICIUS」の詳細はこちら

加藤:

いずれも素晴らしいレストランですよね。モノリスやアピシウスでのご経験は、現在の立場を築くうえで大きな土台になったと感じていますか。

小川:

はい。もともと石井シェフの存在は存じていましたし、学校の講師もしていただいておりました。料理が本当においしくて、世界観にもとても惹かれました。そんなご縁もあって、入社を決めた経緯もあり、学生時代から通して大変学ばせていただきました。
アピシウスでも主にサービスとして働いていました。当時のシェフソムリエは情野さんに変わった後の時代です。私はコミ・ド・ラン(Commis de Rang)というポジションの下積みで、直接ワインを扱うことはあまりなかったのですが、先輩たちとブラインドテイスティングをする時間を共にさせていただき、ワインに深く傾倒していきました。情野さんを通じてソムリエ協会の裏方仕事を手伝わせてもらったことも学びをいただきました。

加藤:

お話を聞いていると若いのにどこか落ち着いた印象を受けます。やはりそうした経験の積み重ねによるものだと納得できます。一度は飲食業界を離れたとのことですが、再びこの業界に戻るきっかけは何だったのでしょうか。

小川:

当時はベンチャー企業でマーケティングの仕事をしていました。その仕事もとても面白かったのですが、札幌に戻ることになったタイミングで、両親から「一緒にお店をやらないか」と声をかけてもらったのが、飲食業界に戻る良い機会だなと思いました。「サービス業をもう一度やりたい」という気持ちはずっと心のどこかにありましたから。

加藤:

ご両親はその気持ちを察していたのかもしれませんね…その後、再びレストランの世界に戻ってみて、いかがでしたか。

小川:

やはり落ち着きますね。今はキッチンには両親がいるので、ずっとサービスに専念できています。ワインも全面的に任せてもらって「やはり自分はこの世界が好きなんだな」と改めて感じました。

加藤:

お話と表情からもその感情が伝わってきます。お父様が料理をされている姿を長年見てきて、今に活かされていると感じたことはありますか。

小川:

幼少期にはわからなかったですが、今思うと幼少期からの経験が「食の水準」を作ってくれた気がします。フランス料理を通じて「美味しいもの」「食を通して伝わる世界観」みたいなものを自然と教えてもらったように思います。

加藤:

「食」の英才教育みたいなものですね(笑)ご両親と一緒にお店を運営されて、今でどれくらいになりますか。

小川:

今でおよそ2年半です。家族と一緒に仕事をするのは特別なことですし、学生時代に一度離れていた分、今は新鮮な気持ちで向き合えています。家族経営ってなかなか難しい部分もありますが…(笑)その分やりがいも大きいです。

ご家族と一緒に働くようになり、普段の関係性や距離感に変化はありましたか。また、家族と一緒に働くことはどう感じましたか
小川:

そうですね。基本的に家族全員「仕事は仕事」という感覚は共通項だと思います。ただ、同じことをしていても、それぞれの立場で見え方や感じ方は違うと思います。一緒に働いてみて初めて知る一面もありました。今までも様々な料理人の方と仕事をしてきましたけど、やっぱり両親はすごいと感じました。特に父は仕事に対して真面目で、時間をかけて丁寧に向き合うタイプ。これまで出会ったどのシェフも素晴らしかったですが、父はまた違う意味で、人一倍、本気で料理に向き合っている人だと感じました。その姿勢を間近で見て、仕事に対する向き合い方にも意識が向くようになりました。

加藤:

私は家族と一緒に仕事をしていないのですが、想像するだけでも大変さは理解できます。それに私自身、水美さんのお父様と一緒に働いた時期もあります。お父様の料理に対する真摯さは際立っていたというお話はとても共感できます。お父様の一方で、水美さんから見たお母様の仕事に対する姿勢はどのように感じていますか。

小川:

母は幼少期や高校卒業後にフランスに数年住んでいて、フランスの料理学校を出た後に恵比寿のタイユヴァン ロブションに勤めている時に父と出会い結婚して、私が生まれたきっかけで主婦になりました。その後、転勤もあり移住先である札幌のブラッスリーやリストランテでサービスをしていました。
また、三國シェフの店で働いたことはないんですが、料理チャンネルのレシピ監修などで関わったことがあったりして…(※出版された本のクレジットにも掲載されています。)東京では「クロディーノ|ristorante KURODINO」でも働いていました。このように、いつでも新しいことに挑戦しているのは本当にすごいことだと思います。

※「クロディーノ|ristorante KURODINO」の詳細はこちら

加藤:

素晴らしいご両親ですね!!では、ポジティブな部分だけではなく、実際にご両親と働くようになって、苦労や葛藤はありましたか。

小川:

苦労というより、葛藤はありますね…自由にやらせてもらっている分、自分なりの責任を感じています。両親が築いてきたお店に自分が関わるというのは、やっぱり特別なことですから…だからこそ、ちゃんと自分の形を見つけていきたいと思っています。

加藤:

すでにご自身のスタイルをしっかりと見つけていらっしゃるように感じますので、あとはその形をさらに磨き上げていくだけだと思います。これからの「mondo」がどのように進化していくのか、とても楽しみです!!