ペアリング体験記 at フランス料理 mondo
目次
Salade
網走沖ニシンのマリネとジャガイモのサラダ
White Wine
キューン リースリング グラン・クリュ ケフェルコフ[2021]
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CHECK
網走沖で獲れるニシンは、冷たい海で身が引き締まり、酸と旨みが共存する素材。シンプルな素材を「マリネ」という手法で酸味を加え、海の塩味と研ぎ澄ませています。そこに旬の山わさびをアクセントとして加えて、辛味と香りを演出しています。

アルザス グラン・クリュの一つケフェルコフのリースリング。砂岩由来の柔らかなミネラル感とリースリングのシャープな酸。果実味と共に塩味とミネラル感があり、伸びやかな余韻が感じられます。マリネによって引き立つニシンの脂と旨味に、ケフェルコフの上品な酸がまっすぐ差し込み、口中をクリアに整えてくれます。さらに、山わさびの辛味は刺激よりも香気が前に立ち、そのアロマがワインのミネラルと共鳴し、味わいだけでなく香りまで寄り添うペアリングを生み出しています。


poisson du jour
島牧沖鮟鱇(あんこう)とポロ葱のエチュベ
White Wine
ドメーヌ・ピゲ・ジラルダン ムルソー プルミエ・クリュ シャルム[2021]
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CHECK
島牧沖で水揚げされた鮟鱇(あんこう)は、北海道を代表する冬の恵み。1週間かけて丁寧に水抜きされた身は、余分な水分が抜けることで旨味が凝縮し、素材本来の水分で蒸し焼きする(エチュベ)と心地よい弾力と奥行きのある味わいが生まれます。その鮟鱇と相性の良いポロ葱を合わせ、白ワインベースのソースでやさしく包むことで、ビストロ風の一皿に仕上がっています。

粘土石灰質の土壌から生まれるこのワインは、豊満さと緊張感を併せ持つのが特徴で、程よい酸と、透明感のある果実味が際立ちます。ピゲ・ジラルダンが手がけるムルソーは、樽のニュアンスが過度に主張せず、テロワールを存分に感じられるスタイル。鮟鱇の肉質のふくよかさと、シャルムが持つ丸みのあるテクスチャーが綺麗に重なります。さらに、白ワインソースはムルソーの酸とミネラルも相まって料理とワインが調和しています。ポロ葱の甘みは、ワインの果実味と寄り添い、余韻にはムルソーらしいほのかなバター香がソースの奥行きを引き立てます。クラシックなフレンチの醍醐味を体現するペアリングです。
Viande du jour
留萌産雌蝦夷鹿のロティ ポワヴラードソース
Red Wine
シャトー・タルボ[2022]
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CHECK
北海道・留萌で育った雌の蝦夷鹿は、雄に比べて肉質が繊細で、香りにも上品な甘みが漂うのが特徴。ロティによってそのしなやかな繊維がほぐれ、噛むほどに赤身ならではの深い旨味が広がります。添えられるのは、リンゴのピューレや八角、はちみつといった柔らかな甘香ばしさをもつアクセント。クラシックなポワヴラードソース(黒胡椒を効かせた赤ワインベースのソース)が全体をまとめ、フレンチの技術によって蝦夷鹿の風味が引き出された奥行きある一皿です。

蝦夷鹿の赤身は、タルボのしっかりとした骨格と果実感によって、その旨味がより深く、しなやかに広がります。さらに、リンゴのピューレや八角・はちみつの甘美的なニュアンスが、タルボの果実感とスパイス香を引き寄せ、味わいに奥行きを生みます。ポワヴラードソースの黒胡椒の刺激は、ワインのタンニンを引き締め、料理とワインの輪郭を整えています。フランス料理の気品が一つのワインと料理で重なり合い、フランスを体感できるペアリングとなりました。


あとがき
今回のペアリング体験を通して、あらためて強く感じたのは、mondo に流れる食文化の温度でした。
北海道の素材がもたらす和のエッセンス。それをフランス料理の技術で丁寧に仕立てることで生まれる一皿。その料理にワインが寄り添い、どれかが主張しすぎるのではなく、それぞれが呼応しながら重なり合い、ひとつの空間の中で調和していく…そんな体験をさせていただきました。
その中心にあるのは、小川シェフが積み重ねてきた確かな経験に裏づけられた料理と、家族がともに作り上げる温かい雰囲気。そして、家族で営むからこそ生まれる、自宅に帰ってきたようなぬくもりを感じながら食べるフランス料理の文化。
改めて「食は文化であり、人であり、そして土地の表現」だという、当たり前でありながらも忘れがちな事実を思い出させてくれました。
この記事が、みなさまの新たなワイン選びのきっかけや、次の一皿との出会いのヒントになれば幸いです。そして機会がありましたら、ぜひ札幌の mondo を訪れ、この「札幌発 フランス料理の文化」を実際に体験してみてください♪








撮影場所:フランス料理店mondo
フランス料理店 mondo の詳細
フランス料理店 mondo
〒060-0061 北海道札幌市中央区南1条西9丁目1−2 アルファ西9丁目ビル
ランチ |11:30~14:30(L.O.13:00)
ディナー|18:00~22:00(L.O.19:30)
定休日 不定休(公式SNSなど要確認)
電話番号: 090-1296-9545
この記事のインタビュアーは・・・
加藤 雅也 -Kato Masaya-
鳥取県出身。ホテルオークラ東京(現TheOkuraTokyo)で当時、国内随一の人気と格式のあるフレンチレストランLaBelleEpoqueにてサービスに従事。数々の海外星付きシェフのフェアなど経験し、フランス料理の神髄とサービスマンとしての振舞いを学ぶ。その後、丸の内再開発プロジェクトとしてOPENした、ミクニ・マルノウチにてソムリエに就任し、当時PP100点のボルドー ワインを全てオンリストするなどして話題に。そして若手ソムリエコンクール(当時25歳以下)にてファイナリストを経験。ソムリエとして更なる飛躍を目指し、当時パリ一つ星「STELLA MARIS」 の吉野建氏が東京にOPENした「tateru yoshino」のソムリエに就任。 現在は、信濃屋のワインバイヤーとして、ソムリエとしての経験と世界11ヶ国のワイン生産地を訪れた現地での情報を基に、ビギナーからプロフェッショナルまで楽しめるワインショップとして業界で注目され続けている。 また人と人との出会いを大切に、オン・オフのマーケットの交流とリテールに携わる人々の社会的な向上をはかり広く社会へ貢献することをモットーに日々奮闘中。