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ペアリング体験記 at Restaurant TOYO

四品目

フグとホタテのパイ包み

チコリとフグ皮とあわせたサラダ

白みそとバターソース

ペアリングのワイン①

キューン/ゲヴュルツトラミネール [2019]

ペアリングのワイン

ドメーヌ・ピヨ

メルキュレイ 1級 アン・サズネー [2019]

CHECK

白みそとバターソースには、樽を効かせたシャルドネを合わせたくなるところを、セオリーとは別の角度からのペアリング体験。

スタッフが感じた印象

樽が効いたシャルドネがこの料理に合う理由はバターに負けない風味の強さ。しかし、ゲヴュルツトラミネールも風味の強さは力強いバターと同調します。この料理には柚子も使っているので、ゲヴェルツに足りない酸味を補完してくれて、料理とワインが双方を引き立てあうような印象を感じました。

成澤氏のコメント

「ゲヴュルツ」とはドイツ語でスパイスと言う意味を持ちます。そのため、一般的にスパイシーなアジアン料理と相性が良いと言われています。これはいわゆる味わいの同調です。今回は、ゲヴェルツと料理が相乗効果が生まれるように、ワインに欠けていた酸味を料理に柚子を使うことで補完しました。柚子がワインの輪郭を引き締めて、料理によってワインも引き立ちました。

CHECK

素材、ソース的には白ワインと合わせたくなるところを、あえて赤ワインで攻めます。どこにフォーカスを当てているかがポイント。

スタッフが感じた印象

こちらはパイ生地にフォーカスしたペアリング。前出同様、パイ生地の香ばしさに赤ワインの風味がバッチリ合います。付け合わせのチコリの苦みは、特にこの赤ワインの余韻に寄り添ってくれます。ボルドー系の赤ワインだと赤ワインのタンニンが強すぎるので、このペアリングは成立しないでしょう。

成澤氏のコメント

一般的に『ワインの格と料理の格を合わせる』と言われます。言葉を言い換えると『複雑な料理には複雑なワイン』を合わせるということです。この料理は素材(フグや白みそ)や調理(パイ包み)も複雑な1品なので、高品質で複雑味のあるメルキュレイ・アン・サズネーを合わせました。

五品目

国産鹿肉のロティ

山芋とキュウリのアッシェとゆり根のピュレ

ペアリングのワイン

ランド・ハウス・ポール

ツヴァイゲルト セレクション[2020]

CHECK

なかなか家庭の食卓には上がらないジビエ料理※4に合わせるレストランらしいペアリング。

スタッフが感じた印象

鹿肉が脂身が少なくジューシーで柔らかい赤身肉でした。とても繊細な火入れ具合が絶妙。こちらの料理も調理法次第では様々な赤ワインを合わせることが出来るでしょう。鹿肉がフレッシュかつジューシーだったので、ツヴァイゲルトのテクスチャーととても相性が良いです。そして、ピンクぺッパーのアクセントと重すぎないソースが、よりワインに寄り添ってくれます。まさしく料理とワインが相互を引き立てあうペアリングでした。

※4ジビエ料理とは…狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉(鴨肉や鹿肉など…)

成澤氏のコメント

ツヴァイゲルトをソースに見立てたペアリングです。王道フレンチのソースをふんだんに使用した料理ではなく、ワインをソースの感覚で飲みながら口中で相性が引き立てあいます。ワインを料理の一部として考えて提供しました。造り手の個性にもよりますが、ツヴァイゲルトは土のニュアンスもあるのでジビエ料理とは抜群の相性を発揮します。家庭に置き換えると赤身の強い肉料理をさっと焼いて、ツヴァイゲルトをソース代わりに楽しんでみてください。

六品目

モンブラン

〜八女茶のクリームとカシスのソルベ〜

ペアリングのワイン

ボデガス・アルタンザ

ドミニオ・デ・エレディア リオハ [2019]

CHECK

デザートにもワインを合わせて大人に決める『辛口赤ワイン×スイーツ』がオススメ。

スタッフが感じた印象

食後には酒精強化※5・蒸留酒(ブランデーやウイスキーetc…)と選択肢が多い中、最後まで辛口ワインを合わせてもらいました。合わせたのは”栗”を使ったモンブラン。ペースト状にしたクリームの触感をワインに合わせて、カシスのソルベを付け合わせることで、このワインが持つ果実感と余韻に寄り添うような印象を感じました。もちろん相性も抜群♪

※5酒精強化とは…醸造工程中にアルコールを添加して、酵母の働きを意図的に止めてアルコール分を高めたワイン。

成澤氏のコメント

個人的に、栗は赤ワインをオススメしています。コンポート※6を口中で再現するようなペアリングです。八女茶にはタンニン(渋味)があるので、このデザートの味わいに深みを出してくれます。そのため、赤ワインとの相性がとても良いです。

※6コンポートとは…さまざまな果物をシロップで煮て作る調理法。

ペアリング会の様子

あとがき~撮影裏話~

今回の企画テーマは疑似体験。”Restaurant TOYO 成澤”と”信濃屋バイヤー 加藤”はこの体験を家庭でも楽しんでいただくことで『ワインはこんなに楽しいんだ』『ワインがある食卓(時間)は幸せだな』と感じていただくことが今回の大きなテーマでした。もちろん、毎日”Restaurant TOYO”だけでなく外食をするのは難しい。そんな時にワイン専門店のスタッフに本日の献立を相談してみてください。そうすれば、食卓を彩るお手伝いをしてくれるはずです。時に好みが合わない時もあるかもしれませんが、そんなやり取りも含めてワインを楽しむ時間を重ねていただければ嬉しく思います。

お家で手軽にマリアージュ体験セット①
完売しました
お家で手軽にマリアージュ体験セット②
完売しました

最後に成澤氏からのプレゼント!!成澤氏が実際に選んだ信濃屋のおつまみとワインを2月末まで信濃屋オンラインショップ限定で販売いたします♪ご自宅で手軽にペアリングを疑似体験することができます!!

より本格的な時間を味わいたい方は、是非レストランのような非日常を提供してくれる素晴らしい空間で、ワインと料理に舌鼓を打って楽しんでもらいたいものです。

全てはワインを愛する皆様へ、そしてワインをもっと身近に感じ、親しんでもらいたいという想いを込めて…より様々なシーン、空間・瞬間に合わせたワインを楽しんでもらえる人々が増えますようにと…”Restaurant TOYO”と信濃屋食品が手を取り合ったのは、その想いを叶えたいと願っているからです。

信濃屋本社で行われた事前テイスティングの様子
(左:ソムリエ 徳重氏/右:統括支配人兼エグゼクティブソムリエ 成澤氏)

文末になりましたが、”Restaurant TOYO”成澤氏を始め、ワイン選定に尽力いただきましたソムリエ:徳重氏。そして、当日も素晴らしいサービスと料理をご提供いただきました”Restaurant TOYO”の関係者皆様に感謝を申し上げます。年末の繁忙期に申し訳ございませんでした(笑)そして、ありがとうございました。

この記事を読んでワインって楽しそうだな…ワインを飲んでみたいな…ワインをもう少し深堀してみようかな…そんな気持ちになっていただければとても嬉しいです。これからも様々な角度からワインを発信して、色々な方々にその魅力を届けていきたいと思います。

年末のペアリング体験にて成澤氏と信濃屋スタッフ一同

撮影場所:「Restaurant TOYO」

この記事のインタビュアーは・・・

加藤 雅也 -Kato Masaya-

鳥取県出身。ホテルオークラ東京(現TheOkuraTokyo)で当時、国内随一の人気と格式のあるフレンチレストランLaBelleEpoqueにてサービスに従事。数々の海外星付きシェフのフェアなど経験し、フランス料理の神髄とサービスマンとしての振舞いを学ぶ。その後、丸の内再開発プロジェクトとしてOPENした、ミクニ・マルノウチにてソムリエに就任し、当時PP100点のボルドー ワインを全てオンリストするなどして話題に。そして若手ソムリエコンクール(当時25歳以下)にてファイナリストを経験。ソムリエとして更なる飛躍を目指し、当時パリ一つ星「STELLA MARIS」 の吉野建氏が東京にOPENした「tateru yoshino」のソムリエに就任。 現在は、信濃屋のワインバイヤーとして、ソムリエとしての経験と世界11ヶ国のワイン生産地を訪れた現地での情報を基に、ビギナーからプロフェッショナルまで楽しめるワインショップとして業界で注目され続けている。 また人と人との出会いを大切に、オン・オフのマーケットの交流とリテールに携わる人々の社会的な向上をはかり広く社会へ貢献することをモットーに日々奮闘中。

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