新世界オーストラリアワインの魅力「進化と変革」
目次
オーストラリアワイン テイスティングディスカッション
最後にオーストラリアのワイン、スクリューキャップでの熟成を体感していただきたいと思います。ファームストン内のラストストックもあり、全てをお客様にご提供できるわけではありませんが…この体験をお客様に伝えて頂ければと思い用意いたしました。
テイスティング銘柄
プランタジェネット アンジェヴィン・リースリング 2016 (西オーストラリア)
デ・ボルトリ シングルヴィンヤード セクション A5 シャルドネ 2017 (ヴィクトリア州)
マックヘンリーホーネン ロッキーロード・カベルネ/メルロー 2018 (西オーストラリア)
デ・ボルトリ シングルヴィンヤード セクション A8 シラー 2016 (ヴィクトリア州)
デ・ボルトリ ファイ ピノ・ノワール 2013 (ヴィクトリア州)
デ・ボルトリ ノーブル・ワン 2014 (ニュー・サウス・ウェールズ州)※セミヨン100%
※こちらのみオンラインショップで限定販売開始
では『プランタジェネット アンジェヴィン・リースリング 2016』からいただきたいと思います。
素晴らしい状態ですね。こちらは蔵元の倉庫で保管されておりました。6年で綺麗に熟成してます。
西オーストラリアのリースリング…レストランの方々でもこの産地を選ばれるお店は少ないのではないでしょうか。ライムのような果実感もありますし、熟成のニュアンスでハチミツやオイリーなテクスチャーも感じます。コルク栓より重量感のある熟成を経ている印象です。果実感に熟成からくる複雑味、そこに酸味が綺麗にのってこのワインを支えているので、飲み疲れないワインですね。現実的には難しいですが、本来であればこの程度熟成した段階で販売したいですね。
このクオリティーはマルセル・ダイスに勝っているのではないでしょうか(笑)
引けを取らない品質であることは間違いないと思います。私も人間としてこのような熟成をしていきたいですね(笑)
次に『マックヘンリーホーネン ロッキーロード・カベルネ/メルロー 2018』。香りの印象ではオーストラリアとは分からなかったです。もはやボルドーですね(笑)
この熟成具合がスクリューキャップでも可能なのです。これを伝えていくことはとても難しいと思います。ただ、その魅力を伝えていただきたいです。
このワインの在庫は既に扱いがないのですね…(笑)これが3,000円台であれば素晴らしいと思います。黒系果実(カシス、ブラックベリー)のフルーツにミントや天草のスパイスがあります。タンニンも緻密で余韻がとても綺麗に残ります。この価格帯でこれだけの余韻が残るのはボルドーでも格付シャトークラスではないでしょうか…
続いて…ファームストンにある最後の1本をご用意しました。『デ・ボルトリ ファイ ピノ・ノワール 2013』
香りと色味からワインの凄みを感じます。ブルゴーニュのコート・ド・ニュイのワインかなと思いました(笑)最近飲んだピノ・ノワールでは一番美味しいです。先日も、試飲会で正しくブルゴーニュの1級畑ワインを飲みましたが、それを凌駕する素晴らしいクオリティーです。
現行のヴィンテージを寝かせるとスクリューキャップではこのような熟成をしていくと思います。
- - - - - 他のワインもテイスティングしましたが、長くなるので割愛 - - - - -
最後に今回、この対談にあたり信濃屋で販売するワインをテイスティングして終わらせていただければと思います。『デ・ボルトリ ノーブル・ワン 2014』
この色味が8年熟成とは思えないですね。スクリューキャップの瓶でこれだけ熟成できるのですよ!!
まだ果実感は十分に感じます。西洋かりんのフルーツに、マーマレード、ハチミツ、ドライイチジク、スコッチバター…貴腐からのニュアンスもあるのでとても複雑感もあり、余韻もとても長い素晴らしいワインです。人には心が落ち着く時間が必要だと思います。その時間を与えてくれるワインだと思います。晩酌やちょっと落ち着きたいときに、常に冷蔵庫にあるようなそんなワインになり得ますね。
仰る通りです(笑)スクリューキャップなので冷蔵庫で1ヶ月は平気で管理できます。また普段はワインを飲まれない方々や、アイスにかけたり、オン・ザ・ロックで飲んだりとご提案の幅が広いワインです。どういった場面で飲んでいいか分からない方々もいると思いますが、心の安定剤として冷蔵庫に常備して心を穏やかにしていただきたいです。そしてオーストラリアワインを身近に手に取って楽しんでいただけるよう、これからもその魅力を皆様に伝えて参ります。本日はありがとうございました。
あとがき
ワインの好みも十人十色。しっかりと知識と情熱を持って取り組めば、産地や品種の概念を打ち破ることができるのではないかと思えるインタビューとなりました。
人気の産地や伝統は素晴らしいと思います。ただ新しい生産者や産地も、伝統的な産地に負けず劣らずに日進月歩の進化を遂げながら、ワインを造り続けています。スクリューキャップだから…新世界だから…ではなく、スクリューキャップだけれども…新世界だけれども…否、スクリューキャップだからこそ…新世界だからこそ…高品質で美味しいワインがあるということを声を大にして広く伝えていきたいなと思います。
文末になりましたが、取材に応じて頂いた青木さん始め、ご協力いただきましたファームストン 北嶋さん、場所とお時間をご提供いただきました石田代表。年末のお忙しい時期にも関わらず、ご支援ご協力を賜り誠にありがとうございました。皆様のオーストラリアワインの情熱と想いがこのインタビューを通じて、たくさんの方々に響いてくれるよう共に手を取り頑張りましょう!!
インタビュー:加藤 雅也/文:升田 浩輔/撮影:浦川 なお
この記事のインタビュアーは・・・
加藤 雅也 -Kato Masaya-
鳥取県出身。ホテルオークラ東京(現TheOkuraTokyo)で当時、国内随一の人気と格式のあるフレンチレストランLaBelleEpoqueにてサービスに従事。数々の海外星付きシェフのフェアなど経験し、フランス料理の神髄とサービスマンとしての振舞いを学ぶ。その後、丸の内再開発プロジェクトとしてOPENした、ミクニ・マルノウチにてソムリエに就任し、当時PP100点のボルドー ワインを全てオンリストするなどして話題に。そして若手ソムリエコンクール(当時25歳以下)にてファイナリストを経験。ソムリエとして更なる飛躍を目指し、当時パリ一つ星「STELLA MARIS」 の吉野建氏が東京にOPENした「tateru yoshino」のソムリエに就任。 現在は、信濃屋のワインバイヤーとして、ソムリエとしての経験と世界11ヶ国のワイン生産地を訪れた現地での情報を基に、ビギナーからプロフェッショナルまで楽しめるワインショップとして業界で注目され続けている。 また人と人との出会いを大切に、オン・オフのマーケットの交流とリテールに携わる人々の社会的な向上をはかり広く社会へ貢献することをモットーに日々奮闘中。